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好奇心が、加速する。

Client
川重明石エンジニアリング株式会社
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Author
Hana Suzuki

社会を前進させる、エンジニアリングの現場へ

こんにちは、ディレクターの鈴木です。
今回ご紹介するのは、兵庫県明石市に拠点を構える川重明石エンジニアリング株式会社様(以下、KAE様)。

本プロジェクトは、かねてよりお付き合いのあった、川崎重工グループのDXやWeb制作を推進する株式会社ケイテック様(以下、ケイテック様)からのご縁で始まったものでした。

KAE様は、川崎重工グループの一員として、ガスタービンエンジンを中心としたものづくりを支えるエンジニアリング会社です。航空・舶用・産業用ガスタービンに関わる試験運転設備や生産設備、治工具、検査設備の設計・製作から、エンジンの組立・整備、設備保全、品質保証までを幅広く手がけています。

今回私は、そんなKAE様の、約10年ぶりとなるコーポレートサイトの全面刷新と、優秀な人材の応募を増やすための新卒向け採用サイト制作という、2つのサイトを同時に立ち上げる大型プロジェクトを、ケイテック様と協同というかたちで担当させていただくことになりました。

「KAEらしさ」って何だろう

プロジェクトがスタートした際、コーポレートサイトと採用サイトのそれぞれに、次のような課題と目標がありました。

コーポレートサイト
  • 10年以上前に作られた現行サイトでは、事業内容や目指すべき姿がなかなか伝わりづらい
  • 主な業務が川崎重工グループ内のサポートであるため、直接的な営業ツールとしてではなく、「川重関係者や取引先への信頼向上・認知度UP」を図りたい
  • 「重工業・作業着=汚い、きつい」といったネガディブな印象を払い、社内従業員全員が自社の仕事に誇りを持てるビジュアルに刷新したい
採用サイト
  • 慢性的に不足している技術系職種(理系学生など)の応募母集団を形成したい
  • 会社の知名度の低さに加え、KAEならではの技術の凄さや仕事の真価が現行サイトで伝わりきっていない
  • 求職者が、複雑な仕事内容をスムーズに理解し、働く自分の姿を具体的に描ける受け皿をつくりたい

最初期の打ち合わせでよく飛び交っていた「KAEらしさ」という言葉。しかし「KAE様らしさって、一言で表すと何でしょうか?」とお聞きした際、KAE様から返ってきたのは「……うーん、自分たちでもよく分からないんです」という率直な本音でした。

日々真摯に仕事と向き合っているからこそ、自らの持つ技術の凄みや魅力が当たり前の日常になり、言葉にするのが難しい。

「それなら、私たちがインタビューや撮影を通して、お客様自身もまだ気づいていない『本当の凄さと魅力』を探そう」

そんなふうにしながら、ケイテックの佐藤様、そしてKAEのご担当者様たちと手を取り合い、「らしさ探し」が始まったのでした。

工場を巡って見えた「色」

当初、お客様からいただいたデザインのご希望は、会社の雰囲気とマッチする「シンプルなもの」という控えめな言葉でした。また、写真についても「人物の顔がはっきり映らない構図にする」という制約がありました。

ですが、本社や複数拠点を持つ工場など、フォトグラファーのknot様と現場に足を踏み入れるなかで、私たちが思い浮かべていたイメージは良い意味で覆されます。そこにいらっしゃったのは、自らの技術に目を輝かせ、部署の垣根を越えて明るく声を掛け合う、活気にあふれた皆様の姿でした。

ガスタービンの組立・保全、設備設計、品質管理、事務。多種多様な部署がそれぞれの専門性を持ちながら、一つの組織として機能している。自分たちの目で、外部の目線で密着したからこそ気づけた、この「色の多さ(多様性)」と「溢れ出る熱量」こそが、私たちが探していたKAE様の本質的な魅力、つまり「KAEらしさ」だと感じました。

「この活気を、ただ『シンプル』という枠に閉じ込めてしまうのはもったいない」
「これほどダイナミックなものづくりが人の手で成されている感動を、デザインと写真でストレートに伝えたい」

そう感じた私たちは、デザインの方向性を大きく舵切りすることを決意しました。

まずは撮影のハードルを越えるため、粘り強く調整を重ねていくことに。現場の皆様の手厚いご協力のもと、安全面や機密面に配慮しながらも、現場の熱気がダイレクトに伝わる生き生きとしたカットを思う存分カメラに収めることができました。

こうして手に入れた「生きた素材」と現場の体感をもとに、サイト全体のトーン&マナーをKAE様の熱量と多様性がしっかり伝わるデザインへと昇華させていったのです。

技術の高さと人の熱量を届ける、2つのデザイン

現場で見つけた「技術力」と「熱量」。私たちは、最初のご要望だったデザインイメージから一歩踏み込み、現場で感じた温度感を最優先にしたデザインをご提案しました。

コーポレートサイト:プロの誇りを象徴する「信頼の青」

ターゲットは、川崎重工様をはじめとする取引先の担当者様(20代〜50代のメーカー勤務の男性)。専門知識を持つプロに響く「高い技術力」「安心感」「ひたむきさ」を直感的に伝えるため、洗練されたスタイリッシュな世界観を追求しました。

当初キービジュアルには「人は出さない」というご希望をいただいていましたが、あえて「技術者(人)」を含んだ写真を提案。なぜなら、KAE様のサービスの本質は、単なる設備の提供ではなく「人の高度な技術と判断」にあると考えたからです。緻密な作業を行う技術者の姿を重ねることで、製品の紹介にとどまらない、KAE様の真の「介在価値」と「専門性」を視覚的にダイレクトへ訴求することを目指しました。

そして、キャッチコピーもアップデート。長年親しまれてきたメッセージを大切にしながら、現場で体感したプロとしての誇りや熱量が真っ直ぐ伝わるよう、より能動的で力強い言葉へとブラッシュアップを重ねました。

[ 技術を操る ]

高度な設備も、人の技術があって初めて真価を発揮する。単に受動的に機械を動かすのではなく、プロとしての誇りと主体性を持って「操る(コントロールする)」集団であることを定義しました。

[ 未来を動かす ]

向き合っているのは目の前の修理・点検だけでなく、その先にある「エネルギーの安定供給」や「次世代インフラの課題解決」。KAE様の技術力そのものが社会を前進させる「エンジン(動力源)」であるという比喩を込めています。

メインカラーには、冷静な判断力を象徴する「青」を採用。グラデーションで工業製品の重厚な質感を表現しつつ、写真の自動スクロールや背景のスライドイン演出を添え、心地よく回遊できるデザインに仕上げています。

採用サイト:情熱の「赤」と「5色の筋」で描く多様性

一方、採用サイトではコーポレートと対をなすように、温かみと情熱に満ちた世界観を展開。現場で見つけた多様性を象徴する「5色の重なり」をビジュアル化し、部署の数だけある色が混ざり合い、新しい色(価値)が生まれる様子を表現しています。

カラーリングにおいても、メインの「赤」でスタッフの皆様の溢れ出る好奇心を、フッターの「青」でそれを支える確かな技術力を表現。「情熱(赤)を持って動き出し、信頼(青)という土台に着地する」というKAE様の仕事のサイクルを、ロゴの2色を用いて鮮やかに再定義しました。

また、課題となっていた「働く姿がイメージしづらい」という部分を解きほぐすため、コンテンツ面では働くイメージの具体化を徹底的に追求。たとえば、先輩社員インタビューでは、単にお話を伺うだけでなく、それぞれの、これまでのキャリアの歩みや1日のスケジュールの可視化を試みました。さらに、ご担当者様が数百名ものスタッフの方々から集めてくださった貴重なアンケートデータをもとに「本音アンケート」ページを制作。飾らないリアルな声を通して、現場の温度感がそのまま伝わるサイトに仕上げています。

この他にも「KAEで働くとはどういうことか」を分かりやすく理解できるコンテンツを随所に散りばめていますので、ぜひじっくりとご覧ください。

さいごに

広い工場敷地内を車で移動したり、撮影にお邪魔するたびに食堂で違うランチを食べる楽しみができたり(食堂を埋め尽くす社員数の多さに圧倒されました!)。普段、中小企業様を中心に制作をご一緒してきた私たちにとって、毎日が新しい発見とワクワクに満ちた刺激的な制作期間でした。

もちろん、グループならではの厳格なルールの確認や高度なセキュリティ対応、複数拠点に及ぶ撮影調整など、ひとつひとつ慎重に進めるべきディレクションも多くありました。それでも最後まで真摯に走り抜けることができたのは、常に先回りして環境を整えてくださったケイテックの佐藤様、ご担当のおふたり、そして現場で温かく撮影に応じ、ご協力いただいたKAEの皆様の深いお力添えがあったからに他なりません。本当にありがとうございました。

KAE様が誇る「ものづくりに注ぐ情熱」が、新しいサイトを通じて一人でも多くの取引先や未来の仲間へ届くことを、心から願っています。