KOYA WORKS www.koya-works.jp
Credit
Director : Yuki Ikezoe
Assistant Director : Mizuka Chikahisa
Designer : Ayaka Okamoto
Engineer : Chiho Rokukawa
はじめに
こんにちは、デザイナーの岡本です。
今回は、兵庫県神戸市に写真スタジオを構えるKOYA WORKS様との制作についてご紹介いたします。
KOYA WORKS様には久保様、来間様の2名が写真家として在籍されており、広告写真を中心にスタジオ撮影やロケーション撮影を行われています。数年前に弊社のパートナーとして、お客様のサイト用の撮影をお手伝いいただいた経緯があり、この度Webサイトのリニューアルをご相談いただきました。
元々KOYA WORKS様のお写真がとても好きだった私は、「代表の久保様からサイトリニューアルのご相談があったらしい」と風の噂で聞きつけ、まだお声がけいただいた段階でしたが、もし制作となった際はぜひ自分をデザイナーにしてほしい！と立候補したのを覚えています。
立ち止まる
正式にご依頼いただいてからは、オンラインと対面の両方を活用しながら何度もお打ち合わせを重ねていきました。
旧サイトでは実績の更新が止まっており、数年前のお写真がそのまま掲載されていたため、まずは実績の見せ方や運用面に改善の余地があることが分かりました。
「自由にご使用ください」という優しい一言と共に提供いただいたお写真。
一枚一枚に宿る静謐な美しさに、胸が高鳴らずにはいられませんでした。
コンセプトの整理や再構成が進み、要件が段々と固まってきた一方で、私はデザインについて悩む日々が続いていました。
というのも、普段接しているお客様は明確なビジュアルイメージを持っておられることが少なく、「らしさ」を一緒にみつけてデザインに落とし込んでいく制作スタイルになることがほとんどなのですが、今回はクリエイターの皆様とのお仕事。
「KOYA WORKS」という世界観がすでに存在しており、それをどう見せていくかの方向性を決めかね、すっかり迷子になっていました。
対話をする
久保様が制作当初から「デザイナーと一度じっくり話がしたい」と言ってくださっていたこともあり、お時間をいただくことに。久保様とライターの松下様と私の3人で2時間ほど、いろんなことをお話ししました。
お互いのプロフィール、生い立ち、やり込んだゲーム、好きな画家、影響を受けたデザイナー、尊敬してやまないアーティストまで。重なる部分もそうでない部分も、知って、伝えてみて、分かることがあるんだと気付きました。
後々制作が終わって振り返った際も、この2時間があって本当に良かったよねと言い合うほど、デザインをするにあたってとても貴重なひとときになりました。
また別日では、実際の撮影現場を見学する機会もいただきました。見ているこちら側の感覚までも研ぎ澄まされるような、ヒリヒリと張り詰めたリアルな撮影現場の空気を肌で感じることができたことで、KOYA WORKS様の表現への姿勢やこだわりをより理解することができたように感じます。
デザインにうつす
作りたいビジュアルイメージの方向性を定めることができたので、デザインを進めていくことに。PCの端っこにいつも「KOYA🛖」というタイトルのメモを置いておき、ふと思いついたモチーフや言葉を打ち込んでアイディアを膨らませていきました。
デザインの詳細について、せっかくなのでここで少しご紹介させていただきます。
works
縦、横、どちらの構図のお写真も見切れずゆったりと眺められるように、横スクロールのレイアウトを採用しています。色彩豊かなお写真がサイトの中で一番目を引くよう、実績ページ以外はモノクロで構成しました。
koya
「そもそもKOYA WORKSってなんですか？」と聞いた時に教えてもらった由来。あるような、ないような、曖昧な存在。小さくあたたかい小屋のように、人やアイディアが集まり、繋がりをもてる場所。
撮影いただいたお写真を使いながら、世界のどこかにある「小屋」をイメージしてデザインしました。
stance
” 音、匂い、気配、時間、湿度 この感覚を表現すること “
KOYA WORKS様が大切にされている考えを、サイト全体のあしらいにのせました。
背後にぼんやり気配を感じる
ちいさく折り畳んでポケットの中にしまっていたかのような地図
0.1秒単位でカウントされる現在時刻
夜に近づくと現実世界と同じように日が暮れる
ざらざらとした手触りの質感
おわりに
Webデザインは実用性が備わっていないと成り立ちません。旧サイトでは更新が止まりがちになっていた実績ページは、新サイト公開後、とてもこまめに更新くださっています。
そのおかげもあり公開して1ヶ月ほどが経った頃、早速サイトに撮影のお問い合わせがあったとご連絡いただきました。久保様がサイトのデザインを喜んでくださったことも勿論嬉しいですが、リニューアルしたことで結果に繋がったことが何より嬉しかったです。
さて、今回はデザインの産みの苦しみも含めて、デザイナーのありのままをご紹介してみましたがいかがだったでしょうか。
業種は違えど、同じクリエイターの方にデザインをご提案することはとても緊張しましたが、いつも優しく、そして懐深く私たちと関わってくださったKOYA WORKSの皆様。尊敬する方々と共にお仕事をさせていただけることに、心から感謝した制作期間でした。
これからも立ち止まることや揺らぐ瞬間も含めて、その過程も丸ごと楽しみながら制作に向き合っていきたいと思います。
紹介されたクリップサイト