株式会社カワード・チャレンジ coward-challenge.co.jp
Credit
Designer : Yuri Takeuchi
Engineer : Taku Matsumura
Photographer:Kanji Yoshima
はじめに
「今日も、明日も、10年後も愛されるお店をつくる」
そのような想いを胸に神戸市中央区を拠点に、7店舗の飲食店を展開されているのが、株式会社カワード・チャレンジ様(以下、カワード・チャレンジ様)。
Webサイトのリニューアルに加えて、動画制作も視野に入れているとのことでご相談をいただき、Webサイトを拝見していたところ、見覚えのある店名に思わず手が止まりました。
実はそのお店、数年前にwillstyleの忘年会で訪れたことがあったのです。鮮魚や野菜など、こだわりの食材を使った和食はもちろん、落ち着いた空間の雰囲気も記憶に残っていて、「あの素敵なお店を手がけていたのは、どんな方なのだろう」と、お会いするのがますます楽しみになりました。

お客様にも、スタッフにも
愛されるお店を
Webサイトリニューアルの目的は「採用」。「どういう理念でお店を運営しているのか」を、しっかり伝えられるサイトにしたいというご相談をいただきました。
お打ち合わせで代表の新井様からお聞きしたのは、お客様とスタッフに対する想いです。「外食って美味しい。楽しい」と思ってもらえるような場所を提供したい。そのために、お客様にはずっと愛される料理と空間を、スタッフには現場を楽しみながら成長できる場所にしたいというものです。その言葉ひとつひとつから、お店や人に対する深い愛情が伝わってきました。
なかでも印象的だったのが、「セントラルキッチン」の導入についてのお話です。セントラルキッチンとは、複数店舗の仕込みや下処理を一括で行う施設のこと。飲食業界では、本来調理師が行わなくてもよい作業も多く、それが長時間労働の一因になっている現状があるそうです。そのような作業を効率化し、スタッフが働きやすい環境を整えている点に、「今日も、明日も、10年後も愛されるお店をつくる」という理念が、スタッフに対しても丁寧に向けられていることを感じました。

セントラルキッチンで猛スピードでレモンの仕込みをされているスタッフさん。
美味しいと楽しいが混ざり合う一皿
もっとお店のことを知りたいという思いから、後日willstyleのメンバー数名で実際に「くずし割烹 こまじろ」へ伺いました。お料理はもちろん、スタッフの皆さんの接客や雰囲気も含めて、とても温かく居心地のいい空間で、「こういう方々が、このお店をつくっているんだな」と、すっと腑に落ちるような体験でした。なかでも印象的だったのが、「殴って炙った明石蛸」という名前の一皿。聞き慣れない料理名にワクワクしながら待っていると、出てきた料理は予想以上の美味しさで、思わず「おぉ…!」と声が出てしまいました。
お打ち合わせの際に新井様に「この料理名、どうしてこうなったんですか?」と聞いてみたところ、「お店に届いた新鮮な明石蛸を殴って、ぴしーっとなったやつを炙ってるんだよ」とのこと。本当に料理名そのままで、潔さに笑ってしまいました。
ちなみに蛸を叩くのは、筋繊維をほどよくほぐして、柔らかくするためだそうです。

新井様自身もおすすめの「殴って炙った明石蛸」。

どのお刺身を食べるか争奪戦が繰り広げられました。
30人の大撮影会
動画と写真の撮影には、弊社のパートナーであるフォトグラファー・吉間様にご協力いただきました。まずは絵コンテと香盤表を用意し、「どの店舗で、どんなシーンを撮影するのか?」を新井様と丁寧にすり合わせるところからスタート。7店舗それぞれが持つ魅力や空気感を想像しながら、最適なロケーションを検討しました。
撮影場所には、キッチンスタッフの動きや撮影のしやすさをふまえ「居酒屋じげん」を選定。ロケハンティングでは、できるだけ本番の流れに近い形で撮影を進め、スタッフの皆様にご協力いただきながら動画の仮撮影も行いました。撮影当日は終始にぎやかで、皆様が楽しそうに参加してくださったおかげで、カメラの前でも自然体のシーンが数多く生まれました。
このあとご紹介するのは、そんな一日の中から切り取った、印象的なシーンをお届けします。写真を通して、撮影当日の楽しさや、お店とスタッフの皆様、そしてカワード・チャレンジ様の魅力が伝われば幸いです。

撮影にご協力くださったスタッフさんたち。

お客様役を全力で楽しんでいただきました。

息の合ったチームワークがここにも。
まぶしく働く、スタッフの一日を描く
デザインを始める前に大切にしたのは、「私たちが感じたイメージ」と「新井様が大切にしている想い」をすり合わせていくこと。Webサイトは第三者が見るものだからこそ、客観的な視点から感じた魅力を一度フラットに整理し、それを新井さんと共有することがとても重要でした。打ち合わせを重ねたり、更新されているブログからお店の考え方や日常を読み取ったりしながら、輪郭を少しずつ明確にしていきました。
そうして生まれたWebサイトと動画のコンセプトは——
「まぶしく働いているスタッフの一日」。
そのコンセプトを表現するために、動画の上には「暖簾」のあしらいを重ねました。これは店内で働くスタッフの日常を、Webサイトを訪れた方が暖簾越しにお店の日常をそっと覗き込むようなイメージです。さらに事前に訪れた店舗で印象に残った、メニュー表のあしらいも各所に活用しました。このちょっとした遊び心が、お店の空気感を自然に伝えてくれるスパイスになればと思っています。そして、完成したのがこちらのWebサイトです。
おわりに
新井様からご提案くださったブログ「せきらら」では、カワードチャレンジとしての考え方や空気感を伝えるため、公開後も記事をたくさん更新くださっています。その文章からは、カワードチャレンジで働く人たちの人柄や、現場のあたたかさがじんわりと伝わってきて、読んでいるこちらまであたたかい気持ちになります。なによりWebサイトを生きた場所として育ててくださっていることが、私たちにとって嬉しいことです。
撮影や打ち合わせでは、毎回あたたかく迎えてくださった新井様。そして何より、お忙しいなか快くご協力くださったスタッフの皆さまには、心より感謝申し上げます。このサイトや動画が、「なんだか気になる」「ちょっと覗いてみたい」と感じてもらえるきっかけになって、働く人たちの魅力が、ひとりでも多くの方に届くことを願っています。