三光株式会社 sanko-chem.com
Credit
Director : Hana Suzuki
Designer / Engineer : Takuto Matsunami
Engineer : Taku Matsumura
Photographer : Knotphotography
ものづくりをする商社
東京に本社を構える三光株式会社様(以下、「三光様」)との出会いは、2021年7月のこと。以前サイト制作をさせていただいたリグナイト株式会社様からのご紹介によって、お問い合わせいただいたことが始まりです。
「ものづくりをする商社」。これは髙木社長が何気なくおっしゃった言葉から頂いたものなのですが、三光様を表現する際に一番しっくりとくる素敵な言葉だなと、ずっと心に残っていました。メーカーと商社の2つの部門を持っておられる三光様は、自社で化学製品の研究開発や生産を行っているだけでなく、数えきれないほど膨大な数の化学製品を取り扱い、優秀な製品を世界中のあらゆるメーカー様へ供給されています。
そんな三光様の魅力をさらに多くの方に届けるため、この度ブランディングの要素も兼ねたサイトリニューアルのご依頼をいただきました。
サイトができるまで
何度かヒアリングを行うことで見えてきた重要な3つのポイント。
- 多言語切替ができること
- 効率化を図るため自社で製品情報の更新ができること
- 取り扱い製品をユーザー目線で区分すること
1つ目の多言語切替や2つ目の製品情報の更新は、世界で活躍し幅広い製品を取り扱っておられる三光様の想いを形にする機能、そして3つ目のポイントは、サイトを訪れる方々の使いやすさを考えた、私たちからのご提案です。
というのもリニューアル前までは、取り扱い製品が事業部ごとに分けられているなど、探している製品がどのページにあるのかがわかりづらいサイト構成になっていました。三光で働くスタッフ様にとってはわかりやすくても、一番伝えたいユーザー目線で考えるとどうなのか。社外の人間だからこそ見えてくるものや感じることを率直に伝え、より良いサイトになるよう何度も意見交換をさせていただきながら、ブラッシュアップを行いました。
また三光様は日本国内の様々なエリアだけでなく海外にも複数の拠点をお持ちです。今回は、東京本社に加え、大阪の研究所や熊本の工場で働くスタッフ様にもご協力いただきながら、長時間にわたる撮影を行いました。撮影期間で最も印象に残っていることは、なんといっても熊本にある荒尾・有明工場の想像を絶するスケールの大きさ。どこを撮っても、どなたを撮っても痺れるほどかっこよく、終始ワクワクしながら参加させていただいておりました。
当日が誕生日だったため、皆様に見守られながら記念撮影をしていただきました。
サプライズロゴ提案
会社の顔とも言われるロゴマーク。実はプロジェクトが始まってすぐの頃、三光様は「古くから使用しているものがあるので制作の必要はありません」とおっしゃっていました。ですが「全力でご協力くださるご担当者様に何かお返しがしたい!」と勝手に燃えていた私たちは、TOPデザインと合わせて、頼まれてもいないロゴのプレゼンを行うことにしました。題して「サプライズロゴ提案」です。
そしてプレゼン当日、この日は撮影を行う予定もあったため、デザイナーの松並だけでなく、フォトグラファーの東様とともに東京本社へ伺いました。やる気満々で到着したのも束の間、入口の壁には大きく備え付けられた三光様のロゴマークが。「もしかして私たちは、無謀な挑戦をしようとして…いる…?」と、プレゼンが始まる何時間も前から、ドキドキが止まらなくなってしまったことを鮮明に覚えています。 順調に撮影も終わり、残すはプレゼンのみ。少し離れたところから「がんばれ!」とエールをくださる東様に見守られながら、髙木社長、役員の皆様へ向けたプレゼンが始まりました。
まず私たちは、「三光とは何なのか」「三光株式会社とは何なのか」ここから紐解くことにしました。
三光とは?
- 太陽と月と星のこと。
- きらきらと光り輝く、立派な細工物。
- 「三光鳥」の略。
- ウグイスの鳴き声。またそのように鳴くウグイス。
三光株式会社とは?
メーカー・研究開発 + 商社 = 柔軟な対応力
➡︎お客様の求める素材を提供できる化学の会社
そして以上のキーワードをもとに考案した渾身のロゴマークがこちらです。
化学の象徴でもあるベンゼン環をモチーフにしたマークには、輝く素材という視点から⻩色を採用し、三光を意味する「太陽と月と星」を感じてもらえるようなデザインを施しました。そして波模様に削れたマークを中心に角のないデザインを用いることで、三光様の柔軟性を表現。また、あえて小文字のロゴタイプを使用することで、三光様の成長力や小さくも社会を支える化学素材を表現するなど、さりげなくも意味のあるこだわりをたくさん詰め込みました。
さらにロゴマークだけでなく、「Glow by grow 成長し、輝く。」というタグライン*もご提案させていただきました。優れた素材を提供するため、更なる成長と柔軟性を求め続ける三光様を真っ直ぐに表現したい。そんな想いが込められています。
途中上手く言葉が出なくなるほど緊張した空気の中、最後まで静かに聞いてくださっていた髙木社長からの「いいんじゃないですか」の言葉。張り詰めていた気持ちがジワ〜っと緩み、松並と私の頬も緩み、そして一気に体が熱くなりました(今も書きながら、その日のことを思い出して熱くなっています)。
*タグラインとは、企業や商品が提供できる価値を、想いとともに分かりやすく表した短いフレーズのこと。
ぜんぶ新しく
このようにしながら新しく生まれ変わったサイトとロゴマークですが、これらの制作をきっかけに、名刺や会社案内、製品カタログのリニューアルも追加でお任せいただけることになりました。サイトで表現している「壮大さ」や「重厚感」、「かっこよさ」をきちんと活かしつつ、紙ものにしか出せない世界観で三光様を繊細に表現しています。
また昨年の夏頃、「社屋が新しく建ちました」と、あるご担当者様から一枚のお写真が送られてきました。そこに写っていたのは、立派な社屋とともに写る新しいロゴマーク。
壁に備え付けられた大きなロゴマークに怖気付いていたあの日。そして、そのときよりもさらに大きなロゴマークとなり、立派な社屋の一部になっている今。できることなら、「最高のご褒美が待っているよ」と、ガチガチに緊張している当時の私に教えてあげたくなるほど、嬉しさや誇らしさでいっぱいの気持ちになりました。
制作期間を終えて
サイトが完成するまでの間、とにかく弊社が制作しやすいようにと、いつでも先回りし調整ごとを進んで行ってくださった木皿様。拙い私のこともリスペクトしてくださり、常にサポートしてくださった田村様。お二人なくしては、こんなにも良いサイトを制作することはできなかったのではないかと思うほど、多大なるご尽力をいただきました。
まだ制作のご依頼が確定していなかった頃、お忙しいお二人にワイヤーフレームのプレゼンをさせていただきたいとご無理をお願いしたことがありました。これが、一人で参加する人生で初めてのお打ち合わせでした。プレゼンが無事終わった翌日、田村様からとても温かいご丁寧なフィードバックとともに「御社にお願いする予定で手続きを進めております。御社と長いお付き合いができるよう私と木皿も頑張らせていただきます」とのご連絡をいただきました。私のプレゼンが決め手ではなかったことは重々理解しておりますが、何か1mmでも後押しできたのかもしれないと思うと、涙が出るほど嬉しくて堪りませんでした。
三光様とのお仕事は、経験の浅い私に小さな自信をくださり、そしてたくさんのことを学ばせていただいた、とても貴重な経験でした。この場をお借りして、あらためて感謝の気持ちをお伝えさせてください。本当にありがとうございました。
また遠方での撮影にも快くご協力くださったKnotphotographyの東様。サイトを見返す度、三光様の魅力を最大限に表現することができたのは、東様が撮影してくださったからこそだと感じています。
これからも本サイトを通して、三光様のさらなるご発展に少しでも寄与できることを心より願っております。