株式会社扇屋 ogiya-wedding.jp
Credit
Director : Hana Suzuki
Designer / Engineer : Ayaka Okamoto
Photographer : Kanji Yoshima
姫路にある老舗の貸衣裳屋
JR姫路駅に降り立ち、北口を出ると目の前にそびえ立つのは、世界文化遺産に登録される名城、姫路城。
株式会社扇屋様(以下、「扇屋様」)は姫路城へ続く大通り脇にある西二階町商店街で、貸衣裳業を営んでいらっしゃいます。
昭和25年に創業以来、70年以上続く歴史をもつ扇屋様から、弊社顧客様のご紹介でウェディングサロンのロゴタイプ制作とサイトリニューアルをご依頼いただきました。
課題の発見
キックオフミーティングでは、ご依頼いただいた経緯やご要望を代表の佐伯様からお話しいただきました。
- 2年前に初の女性代表として就任された
- 古き良きを大切に、創業者の想いを紡ぎながらも、時代に合わせたイメージに刷新していきたい
- 姫路、神戸を越えていくお店にしたい
今回のプロジェクトでデザイナーを担当させていただくことになった私は姫路在住で、たまたま扇屋様の店舗が近所ということもあり、早速後日店舗見学へ伺わせていただくことになりました。
開店直前のお忙しい時間だったにも関わらず「なんでも自由に見ていってね!」と笑顔で快く迎え入れてくださった佐伯様。
代表でありながら、現場の最前線でパワフルに働かれている姿を拝見し、仕事に対しての熱意を感じました。
店舗見学へはスタッフ様が1名付き添ってくださり、ドレスやお着物などを丁寧にご紹介していただきました。
そこで驚いたのは、数多くの衣裳が並ぶ中グッと心を惹かれるドレスが何着かあり、「これって…」と詳細をお聞きするとすべて「代表の佐伯が仕入れたものです」という答えが返ってきたこと。
トレンドを押さえつつ洗練された美しい1着を、佐伯様が女性目線でこだわり抜いて仕入れられているというお話を後からお聞きし、素人目に見ても違いが分かるはずだと納得しました。
しかし同時に、そのドレスの良さを理解した上で扇屋様を選んでくださるお客様が少なくて困っていらっしゃるということもお聞きしました。
「価値観の合うお客様に来店いただく」という課題が見つかったため、その後は何度もお打ち合わせを重ねて佐伯様がこれから目指していきたい方向性を確立し、解決の手立てを一緒に考えていくことになりました。
新しいロゴタイプ
まずはロゴタイプの制作へ取り掛かることに。
扇屋様の強みや特長、取り扱っている衣裳、ヒアリング内容からコンセプトを考えました。
- 和と洋、歴史とトレンドの調和を保つ
- 一生に幾度とない特別な機会を美しく飾る
- 主役となる衣裳の魅力を際立たせる
制作したロゴタイプがこちらです。
コンセプトに沿ってベースとなる書体を選び、それぞれ一文字ずつ意図を込めながらデザインし、ご提案させていただきました。
「わ〜!」「うんうん」「なるほどねぇ」と相槌を打ちながら、真剣にプレゼンを聞いてくださる佐伯様の姿がとても印象に残っています。
ご提案資料の中で、使用シーンの一例として看板にロゴタイプを当てはめたイメージを載せていたところ、なんとすぐに看板を発注くださったそうで、後日新しいロゴタイプの入ったピカピカの看板が入り口に飾ってありました。
気に入ってくださったことが分かり本当に嬉しく、毎日その看板を一目見るために自宅までの帰り道を遠回りしていた日々を思い出します。
サイトリニューアルへ
接客をする上で大切にしていることをお尋ねしたときのお話です。佐伯様がおっしゃったのは「お客様の魅力を最大限に生かすことのできる1着を見つける」ということでした。ただご要望をお聞きしてその通りの衣裳を選ぶのではなく、本人の肌や目の色、骨格、喋り方や雰囲気からプロの目線で特別な1着を選び、提案型の接客をされているとのこと。
そのお話をお聞きし、「Discover shine and awaken you.(あなたの輝きを発見し、目覚めさせる。)」というキャッチコピーを考案させていただきました。「輝き」「目覚める」といったキーワードは、サイトのデザインにも落とし込んでいます。
さて今回のサイト制作にあたって最も重要となポイントとなったのは、なんといっても写真素材。モデル様、ヘアメイク様を起用し、大掛かりな撮影を行うことになりました。
撮影を担当くださったのは、吉間 完次様。吉間様は大阪を中心にフリーランスで活動されているフォトグラファーです。同じ関西圏でクリエイティブに携わる者同士ということでお声がけいただいたことがきっかけで、パートナーとして一緒にお仕事をさせていただくことになりました。
広告等でのモデル撮影経験が豊富ということもあり、撮影場所や構図のアイディアをたくさんいただき、大変頼もしい存在でした。実は今回が初めてご一緒するお仕事だったのですが、現場だけでなく打ち合わせ段階からご参加いただき、コンセプトへの理解を深め、より良いものづくりをするための努力を1mmも惜しまない姿に心から感銘を受けました。
佐伯様がイメージするのは「格好良い女性」。
女性の社会進出が進み、結婚をすることも、しないことも、自分で自由に選ぶことができるようになった今。そんな現代だからこそ、自立し力強く生きる女性を美しく魅せたいとのことでした。
撮影チームの皆さんにも写真のコンセプトについてお伝えし、打ち合わせで意見交換をしながら撮影イメージを固めていきました。
メインビジュアルには広い砂丘にぽつんと一人、意思のこもった眼差しで凛と立つ花嫁の姿を。
それぞれの分野のプロ達にお力添えいただいたおかげで、素晴らしい写真を撮影することができました。
公開後の反響
公開して1週間後、ディレクターの鈴木と私宛に【早速のご報告】というタイトルのメールが佐伯様から届きました。
- リニューアルしたサイトからご来店予約が入ったこと
- 提携式場様、関係業者様よりお褒めのお言葉たくさんいただいていること
「お二人にすぐにご報告したくて♪」という一文が添えてあり、鈴木と手を握り合って大喜びしたのを覚えています。
佐伯様はブログを更新していく重要性についてもとても理解してくださっており、スタッフ様と当番制で1記事書いたら次の担当者に名札を渡していくという取り組みを実践されているとのこと。(名付けて「ブログ爆弾」だそうです。)
インスタグラムもあわせて積極的に発信をされており、公開後2ヶ月経った最近では「お客様が他社と迷わず、初めから当社しか選択されず来店されるケースが続いている」との大変嬉しいご報告もありました。
公開して終わりではなく、サイトを大切に育ててくださっていることを知り、ただただ感謝の気持ちでいっぱいです。