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「自分は明日、生きているか?」—大企業を離れて選んだ“自分の仕事”

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はじめまして。ウィルスタイルの藤田です。この6月からデザイナーとしてウィルスタイルへ入社しました。今回は、私がウィルスタイルで働くまでの経緯をお伝えできればと思います。この記事が、同じような境遇で新しい業界へ挑戦されようとしている方の背中を押せるようなものになれば幸いです。

Table of contents

  1. 私のこれまで ― 西宮で生まれ育ち、国際系の大学へ進学
  2. 大手インフラ企業に入社し、海外M&Aの世界へ
  3. 大企業で得たもの
  4. 「ありたい姿」を見直し、転身を決意
  5. デザインへの思いと仕事を始めるまで
  6. ウィルスタイルとの出会い
  7. ウィルスタイルでのこれから
  8. 最後に ― キャリアで悩む若い世代のみなさんへ

私のこれまで ― 西宮で生まれ育ち、国際系の大学へ進学

兵庫県西宮市に生まれ育ち、高校を卒業後、大阪大学の外国語学部へ進学しました。
大学では主にドイツの言語・文化を専攻していました。中でも、20世紀前半におけるドイツ・スイスを中心とした芸術活動であるモダニズムに興味があったので、特に、モダンデザインを確立した芸術学校であったBauhausについて研究していました。在学中にはドイツへの留学も経験し、ベルリンのレストランであくせくと働いていたこともありました。

Bauhausとは

バウハウスとは、1919年にドイツのワイマールに創設された、芸術を総合的に教育する学校です。シンプルで機能的なモノが美しいとする機能主義を理念に掲げ、実用性のある作品を数多く生み出し、モダンデザインの基礎を築きました。1933年にナチスによって閉校された後も、機能主義の理念はさまざまな形で受け継がれ、現在でも身近にあるデザインの多くに影響を与えています。

公式サイト(珍しいインターフェイスで、当時と現在のトレンドが融合した素敵なサイトです)

大手インフラ企業に入社し、海外M&Aの世界へ

大学卒業後は、総合職としてエネルギー業界の大企業へ入社しました。当時、留学の影響で環境保護に対する意識が自分の中で高まっていたこともあり、「気候変動を止めることに貢献できる会社で活躍したい」と本気で思っていたので、エネルギー関係の会社を中心に志望していました。

入社後は、海外で発電所などのエネルギー事業を行う企業への出資(いわゆるM&A)を行うプロジェクトへ関わり、市場調査や経済性評価などを担当していました。投資額が何百万ドルとなるような非常に規模の大きいビジネスであり、大変やりがいのある仕事でした。

「投資」と聞くとオフィスでパソコンと睨めっこしながら経済性を計算するような「ザ・インテリの仕事」というイメージが強いかもしれません。ただ、意外と泥臭い仕事も多くあり(担当地域が途上国だったこともあるかもしれませんが)、普通では考えられないような貴重な経験をいくつもさせていただきました。

中でも、アジアのとある国の電力市場調査の一環として、現地へ何度も赴き、クラクションの鳴り響く賑やかな街を駆けずり回りながら、当局や関係者へ粘り強くインタビューを実施したことはとても印象に残っています。


活気あふれるニューデリーの街

大企業で得たもの

大企業だからこそ得られたことは多かったと感じます。まず、周りの先輩方はいわゆるスーパーサラリーマンばかりで、複雑な議論の中で本質的な論点を見抜く力、社内外の関係者をうまく巻き込みながらスムーズに仕事を進める調整力に秀でた方ばかりでした。また、インフラ投資に関する専門知識の深さや、組織内の力関係をうまく読み解きながら動く立ち回りの巧さも印象的で、「仕事ができるとはこういうことか」と感じる日々でした。彼らの下で、仕事の進め方や振る舞いなどの暗黙知を含む「社会人の基礎」を学ぶことができました。

また、大型投資の社内承認を担当していたこともあり、大きい組織の中で物事を動かす難しさ、利害の調整、合意形成のプロセスは大企業ならではの貴重な学びだったと思います。仕事の大小に関わらず、徹底した事前準備と丁寧な説明責任が常に求められる環境でした。

もちろん働き方という点でも、得られる恩恵は大きかったと感じます。福利厚生を含む待遇には恵まれており、よっぽどの失態を起こさない限りは、将来的な高待遇が約束されていました。また、インフラに関する仕事でしたから、世界中の生活に関わる大きな仕事に携わっているという実感は大きく、誇りをもって仕事に取り組めていたと思います。

「ありたい姿」を見直し、転身を決意

2024年の夏に、そんな大企業を離れる決断をしました。もっと自分の仕事で喜ぶ人の笑顔が直接見えるような仕事をできないか、と感じたことがきっかけでした。

お伝えしたように、前職では規模の非常に大きい案件に携わっていたので、もちろん大きなやりがいを感じていました。一方で、規模の大きさの裏返しとして、自分が日々行っている小さな仕事が誰かに貢献している実感を得られず、もやもやとしていました。

また、今後の将来像にズレを感じたことも要因の一つです。終身雇用を前提とした大きな会社にいると、自分のキャリアーひいては人生のモデルコースとなる、つまり「今後自分は○○さんのようなキャリア・人生を歩むのかな」という先輩を多く目の当たりにします。当時の私は、その「モデルコース」に10-20年後の自分を当てはめた姿を想像し、ぼんやりと描いていた自分の人生設計とのズレを少し感じていました。

そんな中、大切な人が亡くなったことをきっかけに、「自分も明日生きているかどうかはわからないんだな」と大げさなことを考えるようになりました。自分のこれからの人生を見つめ直し、改めて今と今後の生活の姿を少しずつ整理し始めました。

すると、自分の将来の「ありたい姿」を実現するには今進んでいるルートでは難しいのでは、という疑念が少しずつ湧き上がってきました。そこで、元々興味のあった仕事で、かつ思い描く「ありたい姿」を実現できる可能性が高い仕事であるデザイン業界へ転身しようと決意し、前職を退職することを決めました。

もちろん、一つの仕事を粘り強く続けることでしか見えないものもあると頭では理解していましたし、若さゆえの盲目的な判断でこれまで積み上げてきたものを捨てることになるかもしれないという不安もありました。ただそれよりも、挑戦しなかったことを悔やみたくないという思いが強くあったんだと思います。

デザインへの思いと仕事を始めるまで

デザイン業界に興味を持ったのは「ものづくり」を仕事にしたいという気持ちからでした。元々「何かをつくって周囲に見てもらうこと」が好きな子供で、幼少期には家のガラクタで工作をしたり、中学校では部活動のTシャツをデザインしたりしていました。自分の作ったもので周りが喜んでくれることが単純に嬉しかったんだと思います。大学に入学してからは、写真というメディアに出会い、作品制作に取り組んでいました。そういう意味で、ものづくりへの思いは人一倍強いと思います。

仕事としてのデザインについて何も知らなかった私は、退職後、デザインに関する基礎をマスターしたいと思い、グラフィックとWebデザインを総合的に学ぶ職業訓練校へ入りました。半年間、デザインを作るための考え方や各種ツールの使い方などのインプットと、デザイン制作のアウトプットを繰り返す日々を送り、その成果をまとめたポートフォリオを作成しました。

ウィルスタイルとの出会い

デザインについて学ぶ中で、広い業界の中でも、これまでの経験を少しでも活かせそうなWebやUI/UX分野が自分に向いているのではないかと感じていました。なので、Webの制作会社を中心に、前職では感じることのできなかった「笑顔の見える仕事」ができる会社を探していました。当時よく見ていたギャラリーサイトに弊社制作のサイトが掲載されていたことから、ウィルスタイルを知りました。

制作実績や本ブログ掲載のCustomer’s Voiceを読むうちに、ここでならお客様と近い距離で笑顔が見える仕事をさせてもらえるかもしれないと思い、すぐに連絡しました。その後、いくつかの面談を通じて採用が決まりました。

※ウィルスタイルの採用プロセスについては他の社員たちによる過去の記事をぜひご覧ください

ウィルスタイルの採用面接は、採用側の質問に求職者が答えを返す単方向的ないわゆる「面接」ではなく、双方向的な対話を行う面談に近い形で行われます。新卒時を含めこれまで様々な「面接」を経験した私にとって新鮮でした。

最初の面談で、代表の坂口さんから「会社が雇う人を一方的に選ぶのではなく、お互いがすり寄る形で採用をしないと関係が長続きしない。人が『この会社と合わないな』と思うときは、価値観が違うことが主な原因。なので、価値観が近いかを大事にしている。そのためにはしっかりと時間を取って互いに向き合う時間が必要」といった話を聞き、組織規模が巨大でない限りは、そのほうが双方にとって様々な面で合理的なのかもしれない、とやけに納得した覚えがあります。

そうして面談を重ねるうちに、お客様・パートナーの皆様・求職者の方など、ウィルスタイルを取り巻く方々に対し、敬意を持って取り組む弊社の姿勢をより感じるようになりました。この姿勢が今のウィルスタイルの価値・実績につながっているんだ、と。

また、面談の中で「お客さんにありがとうと言っていただける上に、対価まで頂けるなんて、これ以上の仕事はないと思っている」という言葉があり、それがウィルスタイルへの入社を決めた要因の一つだったかもしれません。これまでのキャリアで笑顔の見えづらい仕事をしてきた私にとっては非常に新鮮で、この言葉が現場から出てくる職場が日本にいくつあるんだろうと驚きました。

ウィルスタイルでのこれから

今後の目標としては、広義の「デザイナー」として1人前になることが最初のステップだと思っています。ただ頂いた依頼に対して素直に作ってお渡しするのではなく、じっくりコミュニケーションを取りながら、お客様はどんなお悩みをお持ちなのだろうと想像し、「その手があったか」というアイデアを美しく形にできる。そんなデザイナーを目指したいです。

また、前職で得た経験を活かしながら、ディレクションやUI/UX事業、広報など、徐々に職域を広げ、お客様の期待に添う形でご支援ができるよう邁進したいと考えています。そのためにも、小さい仕事からコツコツと積み重ねていきます。

最後に ― キャリアで悩む若い世代のみなさんへ

私と同じような世代・背景で、今後のキャリア・生き方について、これからどんな風に生きていけばよいのだろうと悩んでいる人も多いと思います。そんなときは、その「悩み」を改めて捉え直してみることをおすすめしたいです。

少し話が逸れますが、戦後の高度成長期、日本の若者たちは、「今おもむろに頑張れば将来は素晴らしい世界が待っているはずだ」と期待を持ち、前向きに生きていました。それがある意味で当時の<正しさ>であったのだと思います。

80年代には、その世代の頑張りが功を奏し、日本は世界でもトップクラスで豊かな国になりました。そして90年代以降の日本は、若者にとってモノも十分に手に入れることができ、働き方 ー ひいては生き方の選択肢 ー も多様な国になっています。その結果、今の若者は<正しさ>がわからなくなり、比較的自由な選択肢の中で「何を目指し、どんな風に生きればよいのだろう」という贅沢な悩みを持つようになったのかもしれません。

そういう意味で、それを悩みとして捉えるのではなく、「今の時代は選択肢が色々あるんだから、自分なりの<正しさ=価値観>を決めていいんだ」と考え直す機会だと思ってみる。眼の前の道を一生懸命走っていると、どうしても視野が狭くなります。無意識な前提を疑いながら、これまで自分が持っていた価値観を見直してみると、なにかこれからの方向性が見えてくるかもしれません。

みなさんが自分の価値観に基づき、納得のいく人生を見つけられることを祈っています。
その人生のどこかでウィルスタイルとの関わりが生まれれば幸いです。


最後まで読んでいただきありがとうございました。
今後は入社後の学びやギャップ、半年働いた報告記などお伝えできたらと思います。

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Author | Ryuya Fujita / 70views

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